必要とされていた作物をすべて集め、
農民たちの力が上がったことにより、
マスクとシドーは自由に冒険できる
ようになっていた。
冒険はとても充実しており、様々な
発見が出来ていた。
そんな充実した生活を送っていると
農園は大農園と大きくなり、
それに合わせるかのように
大樹は大きく成長した。
大樹が大きく成長に合わせ、
皆で収穫祭を行った。
歌ったり踊ったりと教団の
教えで破壊行動をしていた頃とは
大違いで大いに盛り上がっていた。
その雰囲気にマギールもとても
満たされており、マスクの申し出に
ビルダーになることを約束する。
しかし、楽しい祭りは長くは
続かなかった。
目次
第13話「マギールの誤算」
あまりの声の大きさに祭りを
楽しんでいた者たちは
竦み上がっていた。
その声は大地を揺るがし、
まるで地震かのように
大地を揺らした。
マギール何かを覚悟しかのように
立ち尽くしていた。
農園の前に立つピンク色の大猿がこの島の
総督、ヒババンゴだということはひと目で
理解できた。
ヒババンゴが来た理由は1つ、マギールの
行動だった。
ヒババンゴは大樹を見るなり顔色を変え、
怒りに満ち溢れている。
それもそのはず、神と崇めるハーゴンの
教えを有ろう事か副総督が破ったのである。
そしてマギールはヒババンゴの説得を
試みるも拒否されてしまう。
逆にヒババンゴから教団の教えを答えろと
言われてしまい、マギールは従った。
ヒババンゴ「ほぅ…てんよく分かっているではないか、
ではこの農園を全て破壊せよ!!!」
しかし、マギールは拒否した。
農園で皆と過ごした掛け替えの無い時間は
マギールにとって教団よりも尊いものだった。
マギール「いっ嫌です……。」
ヒババンゴ「そうか……では死ね!!」
ヒババンゴの無慈悲なる攻撃が
マギールの体を貫いた。
マギール「ぐわあああっ!!」
マギールの断末魔に
チャコも声を上げた。
チャコ「マッマギールさんんんんんーーーー!!!」
そしてヒババンゴの無慈悲なる攻撃は
大樹にも及び、後かともなく破壊されてしまった。
その光景を見たヒババンゴは自身が行った
破壊に満足し、満ち足りていた。
ヒババンゴ「ああ!ああ!破壊とはなんと
素晴らしいことか!」
ヒババンゴは満足し、魔物達に命令を下す。
ヒババンゴ「さぁお前たち!人間共を
破壊神様の生贄にするのだ!!」
その言葉に魔物達は声を荒げる。
そしてヒババンゴは人間に一言言った。
ヒババンゴ「愚かなる人間共よ、
言っただろう?ビルダーは絶望を生む悪だと!」
ヒババンゴが喋っている間に魔物達は
農園の周囲を取り囲みいつでも襲い
かかれるように準備していた。
怯えて動けない者もいたが、
シドーが声を上げた。
シドー「おいお前ら!ここで怯えてるけだと
生贄にされるぞ!!武器を持って農園を
守れ!!!」
シドーの声に農民たちもハッと今の現状を
理解し、怯えながらも剣を握り、魔物と
戦うことを覚悟した。
当然全員が覚悟出来たわけではない。
覚悟をできた者は今まで襲撃時に剣を取り
戦ってきた者たちだけだった。
シドー「戦わないものは邪魔に
ならないようにしてろ!マスク。
教団の奴らここを囲んでやがる。
今すぐにぶっ倒すぞ!」
シドーは自身がマギールが倒された
ことにより怒りに満ち溢れている
ことを感じていた。
今までこんな感情になったことが
ないシドーは自身でも驚いていた。
シドー「マスク。俺はこんな気持に
なったのは初めてだ。マギールを…大樹を
壊すなんて俺は奴らを絶対に許さない!
覚悟しやがれ!俺が今すぐに全員消してやる!!」
そして魔物との戦闘が始まった。
武器を持った農民達は慣れない
戦闘にも関わらずに連携を
して魔物の対処を行っていた。
これはシドーと共に襲撃を
防いできた者たちだけが
戦闘に参加した結果だと思われる。
もし、普段戦闘に参加していない
者たちが戦闘に参加していたら
足を引っ張るだけで
被害多く出ていたであろう。
特に活躍していたのはシドーだ。
シドーは怒りに身を任せ、武器を振り回す
アンデットマンが装備していた盾と鎧は
一撃砕け、骨もろとも粉々にした。
それを見たまどうしはシドーを危険視し、
警戒して遠距離から魔法攻撃で攻めるも
間合いを詰められ為す術無く倒れていった。
マスクもシドーの活躍に
負けないように必死に戦った。
マスクはビルダーなので戦闘は
あまり得意ではなかったが、
シドーと共に行動するように
なってからは戦闘技術が
上がっていった。
マスクの武器はどくばりで、
威力はそこまで高くないものの、
クリティカルヒットが多く狙えるのと、
当たりどころが悪ければ1撃で
息の根を止めることができる
恐ろしい武器だった。
シドー達の活躍により、農園を
取り囲んでいた魔物達は全員
倒された。
戦闘が終わるとドルトンが
皆の無事を確認する。
ドルトン「皆無事か!怪我した
ものはいないか?」
被害を確認した後、動ける者で
マギールを大樹があった場所へと
運ばれていった。
マギールの息遣いは荒く、辛そうだった。
そんな状況にチャコは声を荒げた。
チャコは悟ってしまったのである。
マギールがもう長くないことを。
チャコ「マギールさん!マギールさん!
嫌です!いやあああああああああ!!!」
チャコの声にマギールが答える。
マギール「チャコよ…心配するな…。
まだ…終わったわけでは…な……い…。
大樹は…ビルダーが…作ったものなのだ…。
ハァ…ハァ…マスク……お前にこれを…
授け……よう……。」
マギールはマスクに青いマントを渡した。
マギール「その風のマントが……あれば
空を自由に……飛べ………る。
大樹を…一から作る…手掛を……
探すのだ……。」
マギールの声が徐々に小さくなっていく。
チャコ「マギールさん!
しっかりしてください!
マギールさんがいないと……。
だから…死んじゃ駄目です!!」
そしてマギールは最後の力を
振り絞って喋った。
マギール「チャコよ……。
大樹を復活…させ、大農園を…
作ること…が…お前の夢では…
無かった……の……か?
夢を…諦めては……いかん。
夢を諦める……言い訳を…
探しては…いかん……
ハァ…ハァ…たった一晩では
あっ……たが……ビルダーに…
なれて…ワシは…嬉しか…った…ぞ……。」
マギールは息を引き取り、消えていった。
農園にいる皆がマギールの死を悲しみ
必死に堪えていたが涙は溢れ出し、
すすり泣く声が辺りから聞こえる。
ここで泣いていないのはマスクと
シドーだった。
マスクはマギールから受け取った
風のマントを使い、まだ行けなかった
小島を調べ、大樹の手がかりを
探すことを考えていた。
しかしマスクはどの島を調べれば
良いかまではわからなかった。
もちろんマスクもマギールの死は悲しかったが
今は泣くよりも大樹を作ることで気分を
紛らわそうとしていた。
シドーは対象的に泣くよりも
怒りの方が強かった。
この島に来て仲良くやってきた者を
殺された気持ちは何とも言えなかった。
もしマスクやルルが何者かに殺されたり
したらどうなってしまうのか自分にも
わからなかった。
ドルトンはマギールに憧れがあり、
マギールのように頼られる存在に
なりたかったと泣きながら語っていた。
ポンペはそもそも物づくりをしなければ
このようなことにはならなかったと
言っていたが、それは違うとマスクは言った。
物づくりをしなかればそもそもマギールと
知り合うことは無かったし、収穫祭も
行うことが出来なかったからだ。
そしてシドーは皆の前でマギールの
仇を打つことを誓った。
シドーの怒りに満ち溢れた言葉に
少し恐怖を感じる者もいたが、
それだけマギールの事を仲間と
認めていたとを感じていた。
そしてチャコがマギールの意思を
継ぎ、大樹を1から作ることを決意した
マスクとシドーに調べてほしい場所がある
とチャコが言う。
その事を聞き、マスクとシドーは頷いた。
しかし、正確な場所がわからないため、
適当に探すしか無く、どこから調べようか
考えていたらみみずんが口を開いた。
みみずん「ぼく!かつての大樹が
ある場所に心当たりがあるよ!
かつての大樹は陸地から離れた
小島にあるんだ。
だから普通の魔物や人間は行けない。
でも今は風のマントがあるからそれを
使えば小島にも行けるんじゃないかな。
トマト農園があった湿地帯を東に
抜けると小さな岬があるんだ。
そこに行ってみてよ!」
マスクとシドーは目的地が決まり、
大樹作る手がかりを探しに行くのであった。
つづく
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